Sunday 10 November 2013

止まれないおっさん

先週、血液検査を受けに朝から病院の待合室にいました。

不思議な地元ネタがあって、「チェントロ(市の中心部)にある血液検査ができる施設は検査が甘い(間違っている、とも言う)ので、市立病院で受けた方がよい」らしい。
それまではチェントロにある施設の方が近いし空いているので利用していたけど、せっかくの検査で間違われちゃ困るよなぁと、ちょっと離れた市立病院まで行っている(それでも徒歩圏内)。

血液検査、尿検査など、時間のかからない検査をする施設と、診療予約、検査予約、検査結果受取などの手続きをする受付センターが同じ場所にあって、去年から番号呼びだしシステムがパワーアップして登場している。
そのために、150席くらいありそうな待合室の壁の数ヶ所に番号呼びだし用の液晶モニターが設置されていて、番号が出るごとに「ピンポーン」と音も出してくれる。

その日は割と混んでいて、血液検査の受付をした後、実際の検査まで30人待ちくらいだったので、待ち合いの一番後ろの席に座って待っていた。

いやに目に付くおっさんがひとり。
60〜70代くらいだろうか。
姿は普通なんだけど、とにかくひたすら待合室に設置された椅子の間を徘徊している。
一番後ろで本を読んでいた私には、目の端に入ってどうも落ち着かない。

番号も見なければいけないし、集中もできないので、読書をやめておっさんをしばらく見ていると、何かあるごとに人に話しかけている様子。
知り合いがいれば当然話しかけ、移動してはそこら辺の人に「あなたは何を待っているの? 何番(持っている番号を聞く)?」と話しかける。
そして、また知り合いの横を通ると、さっき話したばっかりなのにまた話しかける。
そこで立ち止まって話しときゃいいのにと思いきや、またすぐに動き出す。

動き出すたびにイラッとさせるのは、知り合い探しか、話の切掛けが欲しいのか、できるだけ人と目を合わそうとするのだ。

不覚にも私もこのおっさんと2度ほど目が合ってしまったけど、こういうタイプのおっさんは99.9%、アジア人、もしくは外国人とはっきり分かる人に話しかける勇気は持ち合わせていないので、0.02秒くらい目が合ってすぐに立ち去っていくだけ。話しかけてくれてもいいですけど。

さらに観察していると、どこかに行っては、毎回私が座っている椅子の列の前方に戻ってきて立ち止まり、モニターを見つめ、また歩き出す。おっさんがそこに立ち止まるので、私からモニターが見えなくなる。

でもこの止まっていられないおっさんはすぐに歩きだす。

そこでやっと気づいた。毎回おっさんが戻ってくる場所には、おっさんの奥さんらしき人がどっかと腰を下ろしていたのだ。
力強そうなかあちゃんの背中。どっかりと腰を下ろして、たくましすぎる足を閉じられないのが後ろから見てもわかる。

ふと思った。
おっさんは、このかあちゃん(奥さん)が怖くて一緒にじっと待っていられないのではなかろうか、、、。

このおっさん、長年このかあちゃんにこうして付き添ってきたのかなぁと、人の人生を勝手に想像してたら、あっという間に30人待ちの血液検査は私の順番まで来たように感じられたよ。

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