17年前、男4人が集まってワインをテーマにした展覧会を開いた。
その10年後、「あんときの展覧会のカタログ、作ってなくね?」と誰かが言い出して、「そんじゃ作るベ」とまた集まった。
芸術家二人、写真家一人、シェフ一人。年齢も30代から70代(カタログ作成当時)。
昨日の朝、「マエストロ」と呼ばれていた芸術家が亡くなった。4人の中で最年長、87歳。
あれから7年、また違う形で4人が集まった。
昨日の午前中、相方と私は、今はバルセロナ在住の写真家を迎えにベルガモのオリオ・アル・セリオ空港にいた。到着ゲートで待っているときに、相方にシェフから電話が入ってマエストロが亡くなったことを聞いた。
10分ほどして写真家が到着。到着とともに悲しいニュースを知らせることになった。
なんかさ、マエストロ、仕組んだでしょ、って思う。
年に1度、バルセロナから実家に帰ってくるくらいの写真家が帰ってきたときに訃報を受けるなんてさ。
私はマエストロに一度しか会ったことがない。私がこちらに住み始めてからは入退院を繰り返していたから。
私たちの結婚式のときも具合が悪くて参列できない旨は聞いていた。去年(一昨年だったかも?)、マエストロの個展が開催されたとき、オープニングだけでも顔を出すんじゃないかと期待したけど、本人不在のまま個展は開催された。
だから、マエストロは私にとってはほぼ「カタログの中の人」。
でも話はよく聞く。4人の中で最年長だけど、一番気心が若いアーティストだって。
今日はお葬式。一度しか会ったことがない私は行く必要もないけれど、社会勉強だとばかりにイタリアで初の葬式参列することにした。
マエストロならこんな私の行動を喜んでくれるだろうって思ったから。
もちろん教会葬。教会に向かった。
私たちが教会に着いたときは葬儀開始よりかなり早い時間。なぜなら、相方も写真家もシェフも教会葬に参列する気はまーーーーったくないから。
ただ、ご家族に挨拶したかっただけ。だから葬式めいたこと、ほとんど見てない。
だから見たことだけ、ちょっと書いてみる。
教会の外には棺を運ぶための車が用意されてた。白っぽい車の窓にはシールでカーテン模様が、、、。ちゃちいなぁと思ったけど、そんなもんなのかもね。
教会の中に入ると、棺は既に信者達が座る席の間の、中央の通路に置かれていた。というか、最初はぜんっぜん気付かなかったけど。
私、棺は祭壇の前に横向きで置かれるのかと思ってたの。前列にいるご家族に近寄ろうと前に進むときに、シェフがぽんぽんと棺を触って「え?」って気がついた。
ここに棺があるんじゃーんって。ふーんって感じ。ふーんって。
参列者の服装はまちまち。基本的に黒とか暗い色って聞いたけど、ジーパンもいたし、寒いからコートを脱がない人も多いから、結構適当。
私が見た葬式っぽいもの、それくらいかも。
内輪だけの葬儀だったので控えめだったし、ミサにも出なかったし、本人の希望で火葬にするらしいし、なーんか、全然社会勉強できなかったー。
マエストロが「社会勉強なんか、ワシからできると思ったら大間違いじゃー」って笑っていそうな、、、。
社会勉強はできなかったけど、「マエストロのために」とシェフのレストランに行ってみんなでランチ。
社会勉強どころか、おいし〜ものをいただいて、ワインを飲んだくれて帰ってきただけ。
はっはっはっ。
さらには、昼間から酔っぱらったもんだから、夕方の中途半端な時間に昼寝。夢見が悪く、起きたら怖くなっちゃった。
変な日。
そうそう、葬儀を行った教会にマエストロの絵があった。
ヨーロッパの教会、中央の祭壇以外にも、両脇に小さな祭壇が並んでいる。絵だったり、フレスコ画だったり、彫像だったりと、飾ってあるものは色々だけど、ロウソクを置いてお祈りできるような形になっていることが多い。
その中の一つの絵、シェフと相方が「マエストロの絵だ」って気がついた。
なんか、いいね。自分が描いた絵が教会に残り、そこで自分の葬式を挙げるってさ。
おぉ。写真と物語がつながった!
ReplyDeleteご冥福をお祈りします……。
385さん、
ReplyDeleteそーなんよー。FBの写真はこれのことさー。